ほんと、緊張した。社長を見るまでは。
探偵事務所の入り口をくぐり、「失礼しまーす」と声をかけると、「そこのソファに座ってて」との返答。
まだ、面接に来ましたとも、名前を名乗ったわけでもないのに、いきなり勝手に座ってて、的な?
なんだか、返答がぞんざいだなぁと思いつつ、おそるおそるソファに腰掛けて待つことに。
さっきの声の感じだと、それほど年輩な感じはなかった。
どちらかと言えば、飛びきり若いわけではない、30代そこそこな感じがした。
またまた膨らむ、わたしの妄想。
まつこと10分。
背筋を伸ばしていることにも疲れ、背中の丸まったころ、いきなり社長が姿を表した。
びっくりしたー。
ピンと背筋を張り直したわたしに、「緊張しなくていいよー。気楽に、気楽に。」
へっ?
そこに見た姿は、なんとなく間の抜けたような男性。
格好も、スーツとかではなく、ジーパンにTシャツ姿。
年のころは、40代になるかならないか。
それにしても、その出で立ちは、わたしのイメージする探偵さんとは遠かったのだけれど、、、
目の前のソファに腰掛け、面接スタート。
と思ったら、いきなり、「いつから来れる?」
って、まだ履歴書見ただけじゃん!!!って、ツッコミたくなった。
なんでも、なかなか面接に来てくれないらしい。
たいていの人は、社名から、そこが探偵事務所だと知ると敬遠するのか、逆に、探偵事務所だと知ると、興味本位で事務所を訪ねてきたりするらしい。
そんな人は、事務所に入ってからの目線やなんかで、見えてしまうらしい。
自分が留守の間、変に事務所を探られたりしても大変だし、できるだけ、かまわずに仕事をしてくれる人を探していたのだという。
それで、募集要項に、特に探偵だという記載がされていなかったのだ、と納得した。
あ、あと、保険会社でかなり上位の位置にいた年輩の女性なんかも、少なくなかったという。
それが、事務員を減らすため、各自パソコンでの事務作業の取り入れにより、仕事のしづらくなった人が、何故だか自信を持って来られるとか?
そんなわけで、いきなり採用ということになってしまったのだ。
特に、探偵に興味のなさそうなところが気に入ったとかなんとか。
そりゃ、面接前に調べたわけでもなく、本当に事務所の前に到着するまで、そこが探偵事務所だと知らなかったのですからね、、、 |