わたしが調査に同行した結果。
実は、あれ、失敗していたんですね。
あのあと、パチンコ屋の駐車場ですぐにビデオのチェックをした社長。
その画面を覗きこむわたし。
おっ、ちゃんと黒い車の画像、撮れてるじゃん!って喜んだのもつかの間。
社長に、
「あほか!!!何を撮ってるんや・・・ナンバーしっかり撮れよ!」なんて怒られてしまいました。
そんなの聞いてないし・・・、と反論したいところだったのですが、その目つきとピリピリした雰囲気が怖く、思わず「すみません・・・」と謝ってしまったわたしの気の弱さ・・・。
怒られたこともあり、舞い上がっていた気分は、地面にはたき落とされ、気が引き締まったようで、2回目ということもあって今度は画面をさりげなくチェックする余裕もできた。
その画像を確認した社長は、満足そうな表情を浮かべたと思うと、近くのコンビニでわたしを下ろし、千円くれたかと思うと、「甘いものでも買って、事務所に帰ってって。」と、軽く言って、車で去ってしまったのです。
ってか、ここはどこ?
めちゃくちゃ寂しい気持ちになったけれど、自分の位置検索をし、最寄駅を調べ、なんとか事務所に到着。
この日、社長は事務所に戻ってこず、定時になったわたしは、そのまま帰宅した。
社長からもらった千円で、家の近くのコンビニに寄り、スイーツとお酒を買わせてもらいました。
アルバイトを始めてしばらくしたころ、黙っているのも申し訳なく、母親に名古屋の探偵事務所でバイトしているのだと打ち明けた。
怒られるかと思いきや、母親は興味津々。
ただ、守秘義務があるので、事務所のことはあまり話せない、というと、残念そうではあるけれど、納得してくれた単純な母親に感謝。
今日、調査に同行したよ、と話したいところだったんだけれど、そんなことを話すと、きっとあの母は、目を輝かせて詳しい話しを聞きたがるに違いない。
その姿を想像するだけで冷静になったわたしは、スイーツと一緒に今日あった出来事を飲みこむことにした。
せっかく、社長に信頼してもらえて、調査にも同行させてもらったのだから・・・。 |